20人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………」
常ならば、そのまま部屋の中に突入する私だが、今日の私の反応は違った。
スパンッと小気味のいい音をさせながら、ふすまを閉める。
ピッチリと元の位置に戻ったふすまは、私が触れる前と1ミリも配置は変わっていない。
「………………」
全てを振り出しに戻した私は、自分が今しがた見た光景を思い浮かべて、さらに振り出しに戻るべきか否かを考える。
「……………………」
だが現実の方が、私に猶予を与えてはくれなかった。
私が見つめる前で、ぐっ、ぐっ、ぐっ、と、ふすまが変形していく。
まるで部屋の中から押されているかのように、こちら側へ湾曲しながら。
最初のコメントを投稿しよう!