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「それは、お疲れ様でした。私は、普段は空気のように過ごしているつもりなんで、大変だったことは察します。では、今更名乗らなくても結構ですか?」
「そうだね。でも、折角だし名乗ってよ。」
「そうですか。では、改めまして。城夏西女子高等学校 2年C組 丹代 結季(たしろ ゆき)です。皆さんのおしゃる通り、私はみんなに頼まれて菓子を作っていました。」
「こちらも、名乗っておいた方がいいかい?」
「いえ、必要ありませんよ。興味なんてこれぽっちもありませんから。」
「厳しいね。そんなに言わなくてもいいのにね。」
「ないんですから、これでいいんですよ。」
「いいことないよ。」
「いいではありませんか。私は、彼女たちに利益しかもらっていないのですから。」
「じゃあ、君から来ない限り受け取らないようにしようか?」
どやっ!
という文字が出そうな、その自信ありげな顔。
なんか、イラッと来た。
「それはそれで、いいですよ?」
「「「「「えっ?」」」」」
これは効いたと、思っただけに、私のこの一言は逆に効いたようだ。
面食らったような顔をしている。
「そうした方が、時間ができますからね。かなりの量を一人で作ってました。」
「で、でも。」
まさかの事態に焦っている。
それは、私にとっては好都合なのだ。
「それでは、失礼します。」
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