第1章

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「それは、お疲れ様でした。私は、普段は空気のように過ごしているつもりなんで、大変だったことは察します。では、今更名乗らなくても結構ですか?」 「そうだね。でも、折角だし名乗ってよ。」 「そうですか。では、改めまして。城夏西女子高等学校 2年C組 丹代 結季(たしろ ゆき)です。皆さんのおしゃる通り、私はみんなに頼まれて菓子を作っていました。」 「こちらも、名乗っておいた方がいいかい?」 「いえ、必要ありませんよ。興味なんてこれぽっちもありませんから。」 「厳しいね。そんなに言わなくてもいいのにね。」 「ないんですから、これでいいんですよ。」 「いいことないよ。」 「いいではありませんか。私は、彼女たちに利益しかもらっていないのですから。」 「じゃあ、君から来ない限り受け取らないようにしようか?」 どやっ! という文字が出そうな、その自信ありげな顔。 なんか、イラッと来た。 「それはそれで、いいですよ?」 「「「「「えっ?」」」」」 これは効いたと、思っただけに、私のこの一言は逆に効いたようだ。 面食らったような顔をしている。 「そうした方が、時間ができますからね。かなりの量を一人で作ってました。」 「で、でも。」 まさかの事態に焦っている。 それは、私にとっては好都合なのだ。 「それでは、失礼します。」
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