第1章

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私は、空気だ。 私は、影だ。 誰の目にも止まらない。 止まらまくたって生きていけるし、楽でいいだもの。 私の生きている世界は、とても生きずらいの。 政治家は言う。 この国を変えて見せるから、この私にぜひ清き一票をと。 国民は言う。 この人なら、変えてくれると。 政治家なんてみんな同じだと。 私の学校だって同じだ。 みんな、一番目立っている人に寄りたがる。 私は、それを無視してただ通りすがるだけ、それでいい。 目立っても、そうじゃなくても、同じ人間には変わりない。 なのに、みんなはその同じ人間にすがりつく。 否定した人間を、異星人扱いをする。 この世の中、上手くできているものだ。 この世の中、都合良くできているものだ。 この世の中、同じ人間でできているものだ。 この世の中、最低なものへと進みつつあるものだ。 でも、それを見て見ぬふり、聞いて聞かぬふり、言わず黙っている。 まさしく、見ざる、聞かざる、言わざる、な世界である。 別に、悪いとは言わない。 しかし、いいとも言わない。 難しいのが、この世界の生きずらいところ。 だから、私はこの世界が嫌いなんだ。 だから、私は同じ人間が嫌いなんだ。 だから、私は自分自身が嫌いなんだ。 だから、私はこれ以上嫌いな人間なんて、いやしないんだ。
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