第1章

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「行ってきます。」 「おい、結季。」 「真?どうしたの?」 「気を付けろよ。」 「えぇ、わかってるわ。」 いつも通りの朝。 学校に行くだけなんだから、考えなくて良し。 この菓子を持って行って、あの人たちに預ければいいだけ。 私は先輩たちに渡すつもりはない。 学校が見えてきた。 すでに学校の校門前には、女子たちが待ち構えている。 今日は休みのはずなのに、待っているなんて。 よくできるものだ。 これを渡して、さっさと学校に入るべきだ。 しかし、私の願いは叶わずに、崩れていった。 リムジンと呼ばれる、やけに長い車が止まった。 「まずい。逃げないと、何されるか。」 「おっと、逃げるなんて。許さないよ?」 逃げる私に気付いた先輩が、急いで出てきた。 私の手を引き、先輩に捕まってしまう。 目の前では、今の状況が理解できない様子でこちらを見ている女子の姿。 理解でいないのはこっちだ。
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