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と、言いかけたところで、キスをされた。
一瞬、何が起ったのか理解できなかった。
初めての感覚に戸惑い、抵抗もできない。
それは長くて、熱くて、深い。
言葉では、言い表すことのできない感覚。
息苦しくなり、先輩から離れようとしても、力が抜けて離れられない。
そうしていると、先輩が私から離れていった。
先輩の顔は、意地悪な悪魔の顔だった。
「いつも冷静な結季の顔が、耳まで真っ赤に染まってるぜ。」
「だ、誰のせいだと、思って・・・。」
悔しいが、恥ずかしい気持ちの方が勝って、冷静でなんかいられない。
私には、うずくまって、顔を隠すしかできなかった。
クラスの先輩たちにからかわれたが、聞く余裕もないくらい焦ってしまった。
うずくまった私の頭に、誰かが手を置いた。
「俺さ、お前のこと前から好きだったんだ。」
こんな時に、さっきのことを思い出させるようなことを言うなんて。
「えっ?ありえない、です。」
否定しても、先輩は話を止めなかった。
「入学式の時、俺らがあいさつしたの覚えてる?」
「はい・・・。」
「あれってさ、女たちを見るだったんだよ。そこで、見渡した時に結季を見つけたんだ。中畑小海と結季だけが、俺たちに反応していなかった。むしろ、結季は俺のことをにらんでいた。」
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