第1章

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そうだ。 私は、先輩が出てきたとき周りの女子が騒ぎ出したので、不愉快でしょうがなくてにらんでいた。 その後、小海と文句を言い合った。 もうその時から名前を知られていたのか。 「それからしばらくして、女たちが菓子を持ってくるようになった。最初は受け取った。そして、気づいたんだ。ばれないようにしていたんだろうが、どれも同じ人が作っていることをね。」 思ったより真面目な話に顔を上げた。 先輩の顔は優しく、笑っていた。 「最初から、気づいていたんですか?」 ドキッとした自分が悔しい。 話題を作ろうと、質問した。 「本当はね。でも、探ろうとは思わなかった。俺、そん時は興味がわかなかったんだ。でも、結季だって気づいたんだ。」 「私だと?」 「そう。気づいたのはある事件がきっかけでね。」 「事件?」 「ほら、俺ってモテるだろ?だから、追っかけにあうんだよ。そんで、俺の誕生日の日にひどい追っかけにあったんだ。その時、うまく撒くために路地に逃げ込んだんだ。運がいいのか悪いのかわからないが、たまたま追っかけの女が来て言ったんだ。」
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