第1章

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「ねぇ、またお願いできない?」 ほら、噂をすれば来たのだ。 「いいけど、何すんの?こないだと一緒?」 「えっと、高砂先輩たちがね。オペラがいいって言ってんだけど、できるの?」 「へぇ、それって私に対する挑戦かな?」 「ねぇ?オペラって何?」 オペラって言ったら、チョコレートとコーヒーのアントルメ。 「アントルメ?」 西洋料理の後によく出される食後の菓子や果物のこと。 「よく知ってるね。」 詳しく簡単に言うと、お酒とコーヒーのシロップにアーモンド粉を練った生地を染み込ませて、ガナッシュとバタークリームの層になっている菓子。 「えっ、お酒入ってるの?」 「本来はね。そんなことも知らずにOKしたの?」 「う、うん。だって知らなくってさ。」 「ふぅん、諦めたらいいんじゃないの?」 「そんなことできる訳ないじゃない。嫌われてしまうわ。」 「でも、そんなの持ってて先生に見つかったら、余計に嫌われるんじゃないの?」 「確かに、ありそうよね。じゃあ、別のをお願いするわ。」
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