第1章

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「卵と発酵無塩バターとか買っとかないとな。後・・・・・。」 「ちょっと、いい?」 買い物のことを考えていると、聞いたことのない男性の声。 顔をあげると、さっき見た男性5人の姿。 「あなたたちは、女子の人たちにちやほやされていた先輩方ではありませんか。私に何か御用ですか?」 嫌味をここで一つ言ってみる。 「これはこれは、いきなりだね。」 「先輩方も、いきなりではありませんか。」 「まぁ、そうだろうね。」 「実はさ、お願いがあるんだよね。」 「そうですか。なんでしょうか?」 「君から菓子を渡してほしいんだよね。」 やはり、ばれていたようだ。 しかし、私だということまで知られているとは、思わなかった。 「へぇ、気づいていらしたんですね。」 「君だって気づいてたんでしょ?」 よく気づいたものだ。 ただちやほやされているわけではないようだ。 「あら、よくお気づきですね。さすが、なんでしょうか?」 「それにしても、優しいよね。わざわざ、菓子を作ってあげるなんてさ。」 「材料費は向こうが負担ですし、それに作る代わりに色々してもらっているし、私にとってはいいことだらけですよ。」
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