第1香 トップノート 6st.

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第1香 トップノート 6st.

「女性がくれた乳粥で、お釈迦さまが悟りを開いたの?」 「伝承によると、釈迦は類まれな共感覚者だったらしい」 「お釈迦さまが、わたしと同じ共感覚者!?」  にわかには信じられなくて、わたしの頭はパニックになった。 「それと同時にエンパス、共感能力者だったみたいだね。だから民衆救済のために、悟りを目指したのかもしれない」 「もしかしたら、その乳粥は特別な飲み物だったの?」  わたしの問いに、ハチがうなずいた。 「スジャーターは釈迦が共感覚者でありエンパスなのを知って、乳粥にある植物の香り精油を混入したんだ」 「ある植物……?」 「東洋では三千年に一度花を咲かせる伝説の花『優曇波羅華』と云われ、西洋では『冥府の花アスポデロス』と云われる植物の香り精油が、釈迦が飲んだ乳粥に入っていたんだ」  三千年に一度咲く伝説の花、そして冥府の花……ハチの壮大な話しに、思わず心が飛翔した。 「その乳粥を恵んだスジャータこそが、僕の八分儀家の先祖なんだ」  お釈迦さまに乳粥を恵んだ女性がハチの先祖なの? 伝説の花だけでも信じられないのに、それはまさに驚天の告白だよ。
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