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それは良いことを聞いた。ポテチをこよなく愛する生ゴミ女子のわたしは、グレープフルーツ味のポテチが開発されれば買い占めするのに。
「でもハチが説明したのは、西洋の香りの文化だよね。それなら東洋って、香りの後進国なの?」
ハチがメガネをキラリと光らせ、ニヤリとほくそ笑んだ。
「良い質問だ、イロハ君」
ヤバい、君がついたよ。火にダイナマイトを注いだかしら?
「日本の香りの歴史は古く595年、淡路島に漂着した沈香の香木が、聖徳太子に献上されたんだよ。仏教伝来と共に多数の香木が輸入され、平安時代には、お香の香りを楽しむのが貴族のたしなみになったんだよ。香りを鑑賞する香道は、室町時代に始まったんだよ」
「香道って何かな?」
「香道は室町時代に始まった、香りを楽しむ世界唯一の芸道さ。香木を焚いて香りの違いを当て鑑賞し、そこに歳事や文学、それに作法を組み込んだ、奥の深い日本が誇れる香りの文化なんだ」
「日本が誇れる文化か」
「香道では香りを嗅ぐのではなく、聞くと言うんだよ。なんだか共感覚みたいだね」
「わたしは視るだもんね」
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