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「そのスジャータから八分儀の、いや御門一族の系譜が生まれたんだよ」
「御門一族?」
「八分儀は元々、御門一族の宗家だったんだ。それが明治維新を境に、御門から八分儀が分かれて、御門の血筋を離散したんだ」
「それで違う苗字なのね」
「元々御門一族は東西南北に分かれ、各々が祭事・警護・政治・呪術の任に就いていた。御門さんは、祭事を司る東御門の出自なのさ」
「その御門一族って、いったい何なの?」
「《冥府の花アスポデロス》を伝承し、その香りの効能で神託を司る一族なんだ」
「神託って……神のお告げみたいな?」
「さっき香りは宗教と共に生まれたと言ったよね? その起源は《冥府の花アスポデロス》にあるんだ」
「宗教の起源が、その花に?」
「《冥府の花アスポデロス》は善良な死者が住むアスポデロス、そのエリュシオンの野に咲く不死の不凋花だ。インドのヴェーダ聖典では『ソーマ』、ゾロアスター教では『ハマオ』とも呼ばれていた。それはとても稀少な幻の花で、『優曇波羅華)』が三千年に一度咲く花と例えられるほどだからね。その《アスポデロス》を追い求めて、一族は西から東へと移動した」
「それで日本に?」
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