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「キレイなピンクと……大理石の青白い色彩かな」
「シャネルの5番は、ローズージャスミンのフローラル系にフレッシューソーピーだね」
「それがピンクかな。それじゃあ青白いのは?」
「ふふっ、そこが5番の面白いところで、その正体はアルデヒドという有機化合物なんだ。ほんの少しの混合物で、香りは大きく変化する。だから香りをつくる調香師の仕事は、とても奥が深いんだよ」
そうだ、ハチは香りをつくる調香師なのだ。
「ハチ、匂いってどうして感じるの?」
「まず匂いや香りを嗅ぐ嗅覚は、人間の五感の中でも伝達プロセスが、もっとも短い感覚なんだ。例えるなら、脳の一部が垂れて鼻と直結しているイメージだね」
「嗅覚って、他の感覚と違うんだ?」
「まず匂いや香りは、空気中に漂っている匂い分子なんだ。その匂い分子が鼻孔を通り、嗅覚受容体から嗅細胞へ、そこから脳の扁桃体、視床下部、海馬を経て、嗅覚野に情報伝達されて初めて匂いと認識されるんだよ」
「まさしく、脳の一部ってカンジだね」
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