第1香 トップノート 1st.

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「うわっ、ゴメンナサイ」  わたしは赤面して平謝りした。  謝るわたしを見兼ねたのか、「本当に、ごめん」と八分儀先生が謝る。  その表情が幼い頃飼っていた、白い秋田犬のハチの表情に似ていた。幼いわたしが癇癪を起こすと、ハチは瞳を潤ませ困った表情で「クゥン~」と鳴いていた。 「ぷっ、ハチみたい」  わたしは思わず、噴き出した。 さらに困った表情をする八分儀先生に、 「六条院学園2年の南三角虹色です。東西南北の南に、丸三角四角の三角、イロハは虹色です」 わたしは自己紹介をした。 「ぷっ、変な名前だね」  笑われた……八分儀だってヘンな名前だよ。笑われて口惜しいから、八分儀先生のアダ名をハチにしよう。 「怒ってスミマセン。でも、先生が命を粗末にするからですよ」  そう言うわたしに、 「ゆるさない」八分儀さんが言った。 「えっ?」 「僕のことをハチと呼ばないと、バカと言ったことをゆるさない。いいかい、イロハ」  うわっ、もう呼び捨てだし。心の中だけのアダ名なのに、早くも著作権を奪われたカンジだよ。
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