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「うわっ、ゴメンナサイ」
わたしは赤面して平謝りした。
謝るわたしを見兼ねたのか、「本当に、ごめん」と八分儀先生が謝る。
その表情が幼い頃飼っていた、白い秋田犬のハチの表情に似ていた。幼いわたしが癇癪を起こすと、ハチは瞳を潤ませ困った表情で「クゥン~」と鳴いていた。
「ぷっ、ハチみたい」
わたしは思わず、噴き出した。 さらに困った表情をする八分儀先生に、
「六条院学園2年の南三角虹色です。東西南北の南に、丸三角四角の三角、イロハは虹色です」
わたしは自己紹介をした。
「ぷっ、変な名前だね」
笑われた……八分儀だってヘンな名前だよ。笑われて口惜しいから、八分儀先生のアダ名をハチにしよう。
「怒ってスミマセン。でも、先生が命を粗末にするからですよ」
そう言うわたしに、
「ゆるさない」八分儀さんが言った。
「えっ?」
「僕のことをハチと呼ばないと、バカと言ったことをゆるさない。いいかい、イロハ」
うわっ、もう呼び捨てだし。心の中だけのアダ名なのに、早くも著作権を奪われたカンジだよ。
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