プロローグ 光りの中で

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 この家に来て一年が経とうとしていた。  マスターのおかげで普通に生活するのに全く支障がないようになった。それどころか、術師学校では決してみることが出来なかった様々な術を教えてくれた。古代精霊術・符術・印術・魔術。今は伝わっていない術ばかりだ。  私はすぐそれにのめり込んでいった。それこそ、寝る間も惜しんで術の研究に没頭した。  マスターの家は、人里離れた山奥にあった。近くにはこれまで誰も潜ったことがないと言われる遺跡の入り口がある。  なんでも、大昔天変地異にあい地中に埋もれてしまったらしい。その為、遺跡の中もどうなっているかわからないとマスターは言っていた。  マスターの家にいる人たちは、皆私によくしてくれた。  有翼人というティム・ウォーレン。どこから出没するのかわからないフェイク・リー。あとはフレイア。三人とも私を向かい入れてくれた。  そんなある日。その者達が現れた。  その日、私は外で散歩をしていた。  彼らはゆっくりとマスターの家へ近付いてきた。  人が来るわけがないこの家へ誰かが来る。私としては初めての出来事だ。その為に、私は身構えてしまった。マスターは敵が多いと聞く。  まさかと思い、私は咄嗟に身構えてしまった。  現れたのは五人。そのどれもが今まであったことがないくらいの強い気を発している。それだけで、私はすくみ上がってしまった。ティムやフェイクですら、相当な実力者なはずなのに、その中の四人から見れば子供も同然だった。  なのに、私は過剰に反応してしまった。  先頭の男に術を放ってしまった。ほぼ条件反射に近い行動だった。本当なら逃げた方がいいというのに、やってしまった。 「な、なんだぁ!?」  男は驚きの声を上げたが、上げただけで全然余裕がある。
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