35人が本棚に入れています
本棚に追加
気配を辿って森の中を駆け抜ける。もらった能力のお陰か、ウ○イン・ボ○トも真っ青の速さで俺達は駆けていた。
感覚的に慣れないため、途中何度か転けそうになるが、数十秒もしないうちに気配の根源となる場所に姿を見つけ、それを一つ一つ見ていく。
コウモリのような羽根、鋭い手足、赤く光った目、そして全ての躰を染め上げる紫――即ち、ドラゴン。
どうやら、この魔物が原因と見ていいらしい。
更に集中してみると近くに馬車一台と人間二人を確認した。片方は上品なドレスを纏っていたため、よくある展開を当てはめると、恐らくどこかの貴族や王族が襲われている所なのだろう。
そこまで思考を至らせた所で、俺は魔物の詳細を検索にかける。そして検索結果が出たと同時にタイミングよく桃花が訪ねてきた。
「蒼輝、あの魔物の詳細は」
「ああ、あいつの名前は“パルプドラゴ"、強さは準Sランク。比べてこの辺りは旅人も通る事が出来る平均Dランク地区。明らかに異常だ」
「うひゃあ、道理で気配が目立つわけだ。襲われてる人このままだとちょっと不味くない?テンプレ的に上級身分のお嬢さんでしょあれ」
「多分ね」
そう言いながら俺は創造能力を使い、長剣を取り出した。
そして、合図を出す。
「桃花、――行くぞ」
「ガッテン承知!」
俺達は、更に勢いをつけ茂みから飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!