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それは一時間ほど前の話だった。
至って普通の高校に通っていた私、一年生の春宮 桃花(はるみや もか)は、放課後の帰り道、いつものように下駄箱で靴を履き替え、幼馴染みである城川 蒼輝(しろかわ そうき)を待っていた。
暫くもしないうちに女子がざわめき始め、彼が来たことを悟る。
「ねぇ城川君、一緒に帰ろうよ!」
「城川、僕一緒に帰りたい!」
「ちょっ!蒼輝様は私と帰るんですのよ!!」
今のでお察しのだと思われるが、蒼輝は所謂テンプレ主人公のような人間。イケメンでスポーツ万能、頭脳明晰。女子が群がるのは日常茶飯事だ。
「ごめんね、また今度にして。桃花、帰ろ!」
「おうよー」
二人で校門に向けて歩き出す。ハーレム勢から嫉妬の視線を受け取るが、それは日常茶飯事。
ここまではテンプレ主人公と全く同じなのだが、蒼輝は従来より少し違うところがあった。
「あの子ら毎日毎日しつこいなあ……好意を向けてくれるのは嬉しいけどこっちの都合も考えて欲しいよ」
そう
相 手 の 好 意 に 鈍 感 で は な い こ と で あ る
ちなみに蒼輝曰く、積極的にアピールする女性は嫌いなのだそうだ。
「毎回大変そうだもんねえ。私も女の子は好きだけどああいうのはちょっと」
「わかる?やっぱ現実の女の子より二次元のが夢があっていいよね。やめられないとまらない」
「いやいや待ちたまえ少年よ、三次元にも可愛いおにゃのこはおりますよ。君の運がないだけさ!」
「何それ酷くね?」
そう駄弁りながら歩みを進めて行く。小学生の時から私達は気があった為、同じアニメや漫画、ゲームに興味を持つことが多く、お互いに話しながら下校することが非常に多かった。
ある時はどちらかの家へ行って一緒にスマブ○をしたり、ドラ○エを攻略しあったりもしていた。
この日、一緒に帰っていた理由も先日録画したプリキ○アをまとめ見するためだったのは余談である。
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