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「……何あの美人さん」
「か、神様とかじゃない?状況的に」
女性が現れてから数秒後。何も喋らない彼女を見てヒソヒソとお互いに耳打ちを始める。
それから少しして、ようやく女性が口を開いた。
「……あの、春宮桃花さんと城川蒼輝さんでよろしかったでしょうか?」
「え、あっはい、そうですが、あの、貴女は……?」
少し緊張気味に蒼輝が返事をする。
「大変申し訳ございません。私、この世界を統べる神、所謂、あなた方の世界で言う最高神と申す者です」
最高神、と言う言葉に反応した私達に再び沈黙が訪れる。
暫くしてその沈黙を真っ先に破り、咄嗟に後ろを向かせ私に耳打ちをしてきたのは蒼輝だった。そして、その目は明らかに焦りを浮かべている。
「ど、どどどうすんだよ。最高神って、よくチート転生系で登場してくるあの最高神?だよね??」
「そそそ、蒼輝とりあえずもちつこう、と、とりあえず深呼吸だ。はいひっひっふーひっひっふー」
「節子それ深呼吸やない、ラマーズ法や。お前も落ち着け、ほらひっひっふー」
「あ、あの……」
「「はいっなんでしょうか!!」」
先程の緊張感のなかった時とは正反対の反応をする私達に、神様(仮)は戸惑いの表情を浮かべる。
「あの、そんなにかしこまらないでください。謝罪をするために来たのであって取って食おうって訳じゃありませんし、大事なお話もありますので……」
「し、謝罪?あ、あの、俺達が死んだ事についてですか?」
ギクシャクしながら蒼輝が答える。その言葉に反応した女性はこくり、と頷くと同時に状況の説明を始めた。
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