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「桃花さん、蒼輝さん、本当に申し訳ありません。こちらのミスでこんな事になってしまい……」
そして冒頭に戻るわけである。
話の内容を要約すれば、天界では個人の命の書類を扱っているが、女性の部下――つまり天使だろう――が私達の書類を間違えて処分してしまったらしくそれによって私と蒼輝は死亡、魂が輪廻に戻ってしまう前に私達の魂をここに保護させて今に至る。と言うことだった。
「えっと、つまり、私達は本来死ぬ予定ではなかった、ということでしょうか?」
女性は顔をゆっくりと縦に動かすと、深く頭を下げた。
「その通りです。本当に申し訳ございません、なんとお詫びをすれば良いか……」
「そんな、大丈夫です!確かに心残りではありますけど、ここに来た時点で察しはしていましたし、そこまで未練があったわけではありませんから!」
蒼輝に続き私も続ける。
「そ、そうですよ!確かに親や友人を置いて死んでしまったのは心残りですけど、それ以外は……あっ……そうじゃんプリキ○ア見れてない……」
「お前ぐだぐだじゃねえか」
そう言われてスパンっといい音を出して頭を叩かれる。普通に痛かった。
「えっと、あの、お詫びにもならないのですが、お好きな転生先で見たい番組をいつでも見られるようにするオプションとかその他の能力も無制限にお付けしますので……」
それを見た女性が焦った様に続けた言葉を聞いて、二人同時に黙る。そして確認するように投げかけた。
「……転生先って選べるんですか?」
「あ、はい……前世に戻ることは不可能ですが、お二人が住んでいた世界に転生すること自体は可能です。その場合のみ書類の関係上、新生児からのスタートにはなるのですが……その他にも、お好きな条件に一致する世界に転生する事が可能です。この場合は今の姿のままでも大丈夫です。」
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