第1章

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自分の体験を何かに残したくて、ここに書こうと思いました。登場する人の名前は偽名にしますが、全て本当にあった出来事です。 ――――――――――――――――― 平成25年2月2日 午後4時過ぎ 東京都新宿区牛込の人気のない路地裏 真冬にも関わらず、俺は靴も掃かずに裸足にTシャツ姿で知らない街を急ぎ足で歩いている。勿論めちゃくちゃ寒い。 でも、寒さよりも恐怖の方が俺の体を支配していた。 「やばい、このままだと完全犯罪の犯人にされてしまう」 この姿は完全に不審者だ。警察に通報されるのも時間の問題だろう。 今はまずい。。今捕まれば、完全犯罪の犯人として残りの人生の大半を刑務所で過ごさなければならなくなってしまう。。 あいつはきっと、人を殺してる。そしてその罪を俺にきせようとずっと前から計画してたんだ。 きっと共犯者も沢山いる。やっとの思いであいつのマンションから出てきた俺を、あいつの仲間が何処かで見張っているに違いない。この状況も全て計画通りなのだろう…。 …前から人が来た! やばい、通報される。俺は近くのマンションの敷地に入り急いで隠れる。 そこは人が来る気配はないが、隣にあるマンションの上の階からは丸見えだ。 「今のうちに友達に電話して助けに来てもらおう」 まずは都内に住んでるチャック(あだ名)だ!…俺の唯一の都内の友達。 頼む、電話に出てくれ! …なかなか出ない。 しぶとく待ち続けると、20コールぐらいでようやく繋がった。 「チャック!時間がないから要件だけ言う!」 「は?どうしたのそんなに慌てて」 「何も言わず聞いてくれ!俺は今、完全犯罪の犯人にされそうで、人に見つからないように逃げている」 「…意味がわかんないんだけど」 「説明する時間がない!今裸足で外にいる。今すぐ牛込に、靴と上着を持って来てほしい!」 「え?靴履いてないの??」 「靴も履いてないしTシャツ1枚だからめちゃくちゃ寒い!こんな格好だから誰かに通報される!」 「でも何もしてないんでしょ?何があったの?」 「時間がない!とにかく早く来てくれ!」 「…いやいや、今仕事中だしいきなりそんな事言われても無理だよ」 「マジでやばいことになってるから頼む!」 「…もしかしてドッキリ?」 俺は昔よく、友達と一緒にチャックにイタズラをしていた。バラエティー番組の“ドッキリ”のように。
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