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「姫、上空は危険です。一旦城内に退却を」
「厭!」サンフラワー姫様は私の忠告を退けました。
誰が想像出来たでしょうか? 婚前の娘が戦地に赴き、テロ組織に荷担するなど――。
日頃よりこよなく愛でておられる向日葵を護る為とは言え、流石にドラゴンの遣いの私めと言えども、止めたのですが、全くの無駄でした。
「メディ、前方にドラゴン接近中、回避なさい」
サンフラワー姫様は戦闘に関して迎撃の指示は出しません。万が一ドラゴンの吹いた炎が、向日葵に点火してはならないとの事で、
ドラゴンには火を吹く事を調教してないのです。
私は手綱を素早く引いて、ドラゴンの体を左へ傾けます。敵国のドラゴンは此方に炎を吹いて参りましたが、更に体を傾けさせ、炎をスレスレの距離で回避致しました。
「姫。もう少し安全運転を…ゲホゲホ」
ドラゴンの急激な傾きに思わず竜酔いしたように咳込みながら、包帯姿の男は言いますが、彼女、ハーロットは、向日葵国を蝕む『萎え』の病に苦しんでいます。
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