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ハーロットは私の研究助手でして、新種の向日葵のシードから僅かな確率で手には入る『不老不死エキス』を原料にした新薬の最初で最後の被験者なのですが、
実験に失敗し、皮膚や臓器を蝕むおぞましい病『萎え』を患ってしまったのです。
私は普段から慕ってくれているハーロットをこんな目に合わせてしまった自分を憎んでおりますが、
彼女自身は博士のお役に立てるならと言う物で大変心苦しい気持ちです。
「姫。ハーロに栄養をとらせましょう。上空では激しく体力を消耗します」
「そうね、では、敵のお城へ――」
「お待ち下さい。地上にソテツの栽培地があります。向日葵水脈も引いている為、水も用意出来ます」
危ない所でした。
此の儘、一国の姫と病人と敵国の城へ突入すると、捕虜になる事はおろか処刑されてしまいます。
ソテツはその儘で食すと強い毒性が災いして発熱や嘔吐や下痢などのソテツ地獄と言う症状を引き起こす為、食する者は一人としておりません。
向日葵国民以外は。
然し、水に数時間浸すと、毒が抜けて食べられる様になるので非常食用に栽培しておいたのです。
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