おじさんになっても好きなモノは好き

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遡ること(地球時間で)凡そ1時間前。 天使が誤って彼女の魂を粛清してしまったのがことの始まり。 ちなみに天使は全ての神々に与えられる部下のみたいなもんね。 ……で、彼女を死なせてしまったワケだけども、こういう場合は特例として転生させることが認められている。 それで例に習って――生を全うしたら叶うってアレ――三つまでお願いを訊くことにした。 そこで彼女を霊体として、一時的にオレの仕事場へお呼びした、というくだり。 「あれ?ここ……(わたし死んだはずじゃ……)」 「いらっしゃい……ってのもおかしいか。ごめんね。突然のことで驚いたでしょ」 不可抗力で聞こえてくる彼女の副音声にそりゃそうだよなと思いつつ、さっきの話を持ち出した。 「君に来てもらったのは、3つの願いを叶えるため。こちらの不手際で死なせてしまったから」 「……謝ることじゃない。遅すぎるぐらいだ」 独り言のような呟きだったが、顔つきがさっきとは違っていて、少女らしさが抜け落ちていた。 オレが思わずきょとんとすると、それに気づいた彼女がハッとして申し訳なさそうにはにかむ。 「すみません。忘れてください」 残念ながら忘れるという行為自体、オレには選択できない。 でもそれを言うのは違うよなと心の中で頷く。 「聞こえなかったよ。歳のせいかな。もうおっさんだし」 「お……」 じいとオレの顔を見上げる女の子と見つめ合う5秒間。 時間が静止する。
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