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「あ、そっか。若い方がいいよね」
見苦しいおっさんの姿は見たくないのかもしれない。
いや、きっとそうだ。
そう思って二十代ぐらいの頃の容姿に変えると……冒頭。
そろそろ現実に戻るとしようか。
「うん、よく分かったから落ち着いて?」
「お見苦しいところを……すみません。願い……でしたよね?」
考える素振りを見せながら、オレと地面とを交互に見てを繰り返す。
「なんでもいいよ。魔法使いなりたいとか、すごい強くなりたいとか」
「強く……はいいか。必要ない」
手をあごに当てて、当然のことと目を伏せったのをじいっと見ると。
「あっ、忘れてください今の!そんなことより、聞いてもいいですかっ?」
あんまり詮索しちゃいけないよな。
女の子だし、強くなりたいとは思わないだけかもだしね。
「うん、どうぞ」
「わたしを死なせてしまった天使さんはどうなるんでしょうか」
不安に揺れる瞳がオレに答えを求めている。嘘をつくのは良くない……よな。
「平たく言うとクビ。でも死ぬわけじゃなくて、記憶を消して人間になるだけだよ」
「人間に……よかった」
ほっと息をついて、ゆるりと微笑みを浮かべた。
いい子だなあ。こんなこと聞いてくるコは初めてだけど。
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