おじさんになっても好きなモノは好き

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アレから数分して、ようやく離れた彼女の旅立ちの準備をしている。 「仕事着、ありますか?」 「死ぬ前に着てたヤツのことかな」 大した荷物も持たずに、彼女は旅立つ。 慣れてるからと言って聞かないから、オレも諦めちゃった。 「そう、それです!直してくれたんですね!ありがとうございます!」 「ちょ、たんまたんま!オレいるから!!」 平然と着替え始めたのに慌ててそう言えば、予想外にきょとんとした彼女と視線が絡む。 「気にしなくていいのに……」 「女のコがそういうこと言うんじゃありません」 ちゃんと着替えられる空間を作って、後ろを向いて待っていると、すぐに彼女が出てきた。 「どうですか?」 ライダースジャケットのような素材で作られた服らしかった。 足首まで届く黒いコートは腰から下が左右に開いていて、中から白い足が覗く。 太ももまでブーツを履いているから、絶対領域ってヤツ。 「ちなみに中は白です!」 ボタンで閉めるタイプの、デザインとしてはトレンチコートに近いモノ。 ブチブチと乱暴に開けて、中の服を見せる。 「よく似合うね」 返答に困りつつそう返せば、彼女は照れた様子で短いスカートの裾を握った。
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