朝が来るまで抱き締めて。

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私には常にお母さんという存在は居た。 初めてできたお母さんは幼稚園の時。 指の長い、お菓子を作るのが上手い綺麗なお母さんだった。一緒に寝るときに綺麗な子守唄を歌ってくれた。 次にできたお母さんは小学校1年の時。 役員を引き受けたりして、バリバリ働くキャリアウーマン。ジーンズをすらりと着こなす綺麗な足だった。 小学校四年の時にできたお母さんは、編み物とオムライスが得意で、笑うと小さなお花がポトリと落ちるみたいな優しい人。 お母さんが代わる度に泣いたけど、皆、皆、とても良い人たちだった。 私を置いて出ていくのを、大粒の涙を流して悔いてくれたもん。 だから、嫌い。お父さんなんて嫌い。 こんなに良いお母さん達を、平気で傷つけたり浮気したり。 男なんて臭くて性格も悪くて大嫌い。 お母さんは代わるけど、隣の家のお姉ちゃんは常に居てくれた。一緒に泣いてくれた。 あんなおっとりとしたお姉ちゃんが、お父さんの頭をホウキで叩いてくれた時はスッキリしたな。 あれから私も、お父さんが借金したり浮気したり、酔っぱらったらホウキで追いかけ回した。 ――お姉ちゃんのおかげ。
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