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ある日人間界に迷いこんだ妖精ルナ。
しかし人間界では妖精の身体は維持できなかった。
ルナはいつも時空の狭間に隠れて身体の崩壊を防いでいたが、お腹がすいてくると人間界に入る。すると人間は時間が止まってしまう。
ルナは最低限必要な食べ物を確保してまた時空の狭間に隠れ、帰る方法を探った。
そんな日々が10年も続き、ルナはすっかり痩せて、服もボロボロになってしまった。
ある日、何時ものように人間界に入ると、少女が一人だけ動いていた。少女はルナが痩せ細っているのに気づくと、焼いたばかりのケーキを差し出してくれた。食べると何故か力が湧いた。温かい物を食べるのは久しぶりだった。礼をのべて帰ろうとすると、少女はルナの手を自分の人差し指に乗せ、もう片方の人差し指でルナの手の甲をトントン、と叩いた。「願わくばまた出会おう。何時でも待っている。我ら人間は妖精の友である。」妖精の言葉を喋る少女。ルナは少女が喋れると思ったが違うようだった。
これは儀式。この人間界でもし妖精に会えたら唱える呪文。
ルナはそれでも嬉しかった。また来よう。ルナはくるりとお辞儀して、時空の狭間に帰った。
次に人間界にきたとき、少女はお母さんになっていた。名前はジェシカ。あれから10年もたっていた。
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