第1章

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ルナはケーキをかじった。それは紛れもなくジェシカのケーキの味。 ジェシカ…。 ルナは両目から落ちる涙をどうすることも出来ずに見送る。 またケーキをかじる。ちょっとしょっぱくなった。涙を拭う。上を向いたり、頭を振ったり。手で覆いながら食べる。 そのうち嗚咽が漏れて食べづらくなるが、それでも食べる。 途中何度も声を出して泣いた。 ジェシカはもう逝ってしまった。もう話せない。笑い声も泣き声も聞けない。手をトントンってしてくれない。 はじめて友を失った。大切な人を失った。ルナはこの気持ちがなんなのかわからなかった。 悲しい。そんな言葉で言い表せない喪失感。ルナはケーキをガツガツと食べ続けた。涙が止まるまで。止まるのかな?そんな事を考えながら。
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