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ルナは泣き止んでいた。何時間たっただろう。いや、そもそも時間は止まっている。
ルナは棚の奥にルナサイズの服があるのに気づいた。
3度目に訪れたときにジェシカが作ってくれた服。あの時歪だった服は、綺麗に修正されていた。背中の空いた緑色のワンピース。
今着ている服もジェシカがつくってくれたピンク色のワンピースだが、その緑色のワンピースには綺麗な刺繍がされていた。その糸はかなり高価な糸だとジェシカが自慢していた糸だ。
側にあった紙には
[いつか帰る時のために]
と書いてあった。
ルナはグッと溢れそうになる涙を押さえ、ワンピースを抱き締めた。
白い棺。その縁にルナは立っていた。緑のワンピースを着て…
ルナはジェシカの手に触れた。
色々な事をしてもらった。力を貰った。異世界に独りぼっちだった自分を救ってくれた。
帰る術を見つけられたのもジェシカのおかげだ。
ルナはジェシカの手をトントンと叩いた。最後のお別れ。
「願わくばまた…出会うことを…」
ルナは静かに目を閉じた。
涙が頬をつたった…
手をまたトントンと叩いた。起きることのないジェシカ。もう二度と。
叶うことのないお別れの呪文。
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