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―――
あら?
ジェシカの娘ルカは棚を見た。
母に言われて開けた棚のお菓子が減っている。さっき見たところだったのに。
「…妖精さんが来たのかしら?」
ルカは微笑んで母の友達の妖精の話を思い出した。
子供の頃からときどきやってくる妖精。お菓子が大好きな妖精。
来てる間は周りの時間が止まっていて誰も気づかない。不思議な友達。
ルカはついに会えなかった。やはり会えるのは母のジェシカだけだった。
その証拠に棚の扉の裏に文字が増えていた。
「服をありがとう。帰ることにする。お菓子残してごめんなさい。」
母から妖精の文字を習っていたのでそう読めた。ルカは読めたことが嬉しかった。そしてその下の文字に驚いた。
「ルカ。残り食べておいて。」
妖精はルカが文字を読める事を知っていたのだ。
ルカはクスクスと笑う。
さっきまで遺産相続の事でうるさかった親戚たちはどうしたのかとルカを心配そうに見ていた。
ルカの胸元にはジェシカのネックレス。ジェシカの予想よりも早く旅立ってしまった妖精に寂しさを感じながら、ルカはクッキーをサクッとかじった。
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