俺には長年飼っていたインコ達がいた

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黄色のキイロと、青色のアオ。 とても仲の良いセキセイインコだ。 小学生の高学年に上がった春、母親と一緒に行ったペットショップで購入した二羽。 のちにキイロとアオと名前を付けられるその二羽は、他のインコ達とは離れた場所で身を寄り合わせて静かにこちらを見ていた。 その瞳には何か訴えるものがあり、小学生の俺でもその二羽は一緒にいないとダメだと思った。 だが、二羽を買うことを母親は許してはくれなかった。 オスとメスで増えたらどうするの、というのが母親が許してくれない理由だった。 今では確かにそうだと思うが、当時の小学生の俺には到底理解できないことだった。 増えたらそれも飼えば良いじゃんと思っていたのだ。 子供とは無責任である。 その時は泣きじゃくる俺を母親が引っ張り帰宅した。 帰ってからじっくりと理由を聞かされ、小学生の俺はしぶしぶわかったと答えたのを覚えている。 感情に任せるな、というのが母親の教育方針だったのだ。 それから数日後、祝日で休みだったのでまた同じペットショップに行った。 母親はペットで命の大切さを学んでほしかったらしい。 でなければ、あれだけ泣きじゃくった俺をまたペットショップには連れてこなかっただろう。 母よ、時間かかったけどちゃんと学べたよ。 セキセインコのケースの中には数日前と比べて、インコの数が少なくなっていた。 店員は、複雑な顏をしながら元気な雛は売れ、元気のない雛は売れないと言っていた。 確かにすぐに死んでしまっては買った意味がないと小学生の頭でも理解できた。 そんなケースの中には前と同じ場所にあの二羽がいた。 数日前と同じようにこちらを見ている。
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