俺には長年飼っていたインコ達がいた

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「お母さん、このインコ達は元気ないの?」 「さぁ……店員さん、この雛は何か病気でも?」 「あ、いえ、その二羽は臆病なだけなんです。少し変わった子達かもしれませんけど、二羽とも健康ですよ」 そんなことを母親と店員が言っていた気がする。 やはり、この二羽が気になる。 他のインコ達とは明らかに違う二羽。 俺はそんな二羽にくぎ付けだった。 何かを訴える瞳。 ただ、警戒していただけかもしれない。 だが、俺には他のインコ達とは違い何か特別なインコなのだと思った。 「お母さん、やっぱりこのインコ達が良い」 「だから……」 「……」 俺はそのときどんな表情をしていただろうか。 泣きそうな顔? 欲しい物をねだる顏? 必死な顔? 俺の表情を見た母の顏は今でも忘れない。 うんざりしたような表情から、真剣な表情に変わる母の顏。 何かを悟った母はため息を一つついた。
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