雨と無知

39/40
149人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「紅愛さん、明日よろしくお願いしますね?」 念を押すように講習の日程を確認するジョー。 私は照れて俯いたまま、こくりと小さく頷いた。 ―――明日私は彼に抱かれる・・・。 仕事の一環。 そして“本番”はない。 それでも明日ジョーに自分のヌードを晒すのかと思えば、恥ずかしくて彼の顔を見る事ができなくなってしまう。 さっきは抱かれながら乗ったエレベーター。 今は私の前に彼の背中があるだけだ。 ものの数十秒で1階へと着く。 しかしさっき抱きしめられながら乗った時、エレベーターに乗っていた時間が今よりももっと短く感じたのはどうしてだろう?
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!