149人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
先入観による不安でお腹が痛くなりそうだった。
しかし、いざ働いてみればそうでもないのかもしれない。
―――前向きに考えよう!
今は後ろを振り返ってはいられない。
できるだけ早く目標額を稼ぎ、普通の生活に戻る事が私の目的だから。
少しの間だけの辛抱。
借金さえ返し終われば、きっと元に戻れるはず・・・。
そんな事を考えていると、エレベーターはあっさり9階へ到着してしまった。
912号室は真っ直ぐに延びた共用部通路の一番奥のようだ。
廊下を歩き、目的の部屋へと向かう。
―――表札は付いていない・・・。
本当にここで合っているのだろうか?
不安は拭えないが、ここまれきたら前に進むしかない。
私はゆっくりと手を伸ばし、ドアの横に取り付けられたインターホンを押した。
最初のコメントを投稿しよう!