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「ごめんなさい・・・。 わかりましたから、もう離して下さい。」 例えこのハグが私の気持ちを揺さぶるための演技だとしても、あんな真剣な目で嘆願されればここを去る事ができないと思った。 誰かのために尽くす事。 そのためには、多少の自己犠牲も厭わない。 こんな私は正しく“マゾヒスト”。 認めたくはないけど、私の心にもわずかに“M”が棲みついていた。 「ありがとう・・・、美月さん・・・。」 唐突に呼ばれた本名。 不意打ちとも言えるその言動に、思わず心が大きく揺さぶられてしまった。
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