異世界への招待券(福引き三等賞)

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 真夏の昼下がり、炎天下ではすきま風が唯一の救いだった。だが、それも人垣が出来る前までの話だ。  場所は繁華街、けたたましいベルの音が当たりに響いた。  頭に響く音や声というものは自然と意識を引き寄せるらしく、直ぐに好奇心旺盛な人が集まった。  夏休みも半分が過ぎてしまった。手を付けていなかった課題に慌てて取り組み、高校生になってまで見る事になるとは思わなかった『読書感想文』の五文字を前に、俺は阿呆みたいに呆然としていた。  気分転換に、藍色の帽子を被ってふらふらとさ迷っていた。そうしていれば喉が渇く、水分を求めて飲み物を購入し、福引券を一枚渡された。  安い福引券だな、と思いながら、大した期待等せずにいたら、三等が当たったのだ。  そして今現在、アルバイトらしき男性が紙切れを一枚手渡してきた。  周りの人に、おめでとうや、運良いなと言われながら、暑苦しさに堪えられず強引に人垣を割って脱出をする。  涼しい家へ逃げ帰り、汗に濡れた下着を着替えて自室へと籠る。  椅子に勢いよく座ると、椅子の軋む音に混じって紙の擦れる音が何故かよく聴こえた。  ズボンのポケットに突っ込んだそれを取り出すと、見事にくしゃくしゃになっていた。  皺を伸ばして、改めてなんなのかを確認してみる。 『招待券』  紙切れにはそれだけしか書かれていなかった。そこらのチケットの様に、右側を切り取るもののようだが、はて、これは一体何処で使うのだろう。
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