異世界への招待券(福引き三等賞)

3/3
前へ
/81ページ
次へ
 こんな物でも福引きの景品なのだ。何処かでちゃんと使えるのだろうけど、今からまた繁華街に行くのは流石に面倒だ。それに暑い。  興味も無くなったので、未来でこの時のこれがなぁ、と後悔するよりは、破り捨てた方が悔いは残らないだろうと思い、チケットを無造作に破いた。 ≪招待券の使用を確認しました。これより転移を開始します≫ 「っ! 誰だ!」  突然聞こえた機械のような音声に、思わず声をあらげるが、返事はない。  代わりだとでも言うように、落としたチケットが発光し、光が膨れ上がった。  迫る光に思わず目をきつく閉じる。  一瞬、足が浮いたような浮遊感を感じ、次に足裏の感触がフローリングのそれから柔らかい物に変わり、そして何よりも。 「……暑い」  うんざりしながらボヤいた。  俺が立っている場所は草原だった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加