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昨日より今日、今日より明日。
時が過ぎるにつれ、僕らの記憶から楓の色は少しずつ薄れていっている。
それはどんなに抗っても抗えきれない現実だ。
過去の中では生きられない。
今を生きてる僕らがずっとそこに立ち止まっているなんてことは不可能だ。
忘れたくなんかないし、完全に忘れるなんてことはないだろうとは思う。
だけど、その顔を、その姿を、その声を、完璧に思い出せているかといえば答えはNoだ。
うっすらと、記憶の中の本物の楓と、こうであってほしいと、こうであったはずだという願望が織り交ぜられて、僕の中の『楓』を形作っている気がしてならない。
時が経てば経つほど、記憶よりも自分の中の想いの方が色濃くその姿を形成してしまうのではないだろうか。
今はそれが、怖い。
いつか本当の楓がみんなの、僕の記憶の中から消えてしまうんじゃないかって。
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