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玄関を出たとたん、熱風のような風が僕らを包み込み、陽射しが容赦なく上から降り注いだ。 誰もが口々に、暑い、という言葉を吐きだし、駐輪場や校門へと散らばって行く。 「午前中で終わりって、ここから帰るまでがまた地獄だよな」 うんざりした口調で矢野が言う。 「明日からバス使うか」 「冗談」 なぜか僕も矢野も自転車で来ることにこだわる。 「あ、橘」 僕の向こう側に視線を向けて矢野が言った。 あれから、橘とはまともに話をしていない。 「あー…お疲れ」 矢野の視線に気づいたのか橘がそう僕らに声をかけた。
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