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いつもと変わらないようで少しよそよそしく橘は僕らの脇を通り過ぎていこうとした。
「なぁ橘。暑いんだけど。アイス奢って」
「はぁ?意味わかんない。なんで私があんたにアイス奢んなきゃならないの」
矢野が橘を捕まえてそんなやりとりをする。
「じゃあ奢んなくてもいいから、付き合え。アイス」
何言ってんだ、って僕は矢野を睨み付けた。
気まずいし、たぶん橘もできれば僕を避けたいはずだ。
「ヤダ」
「いいから。ほら、行くぞ」
橘の持っていたバッグを強引に手にすると、矢野は玄関から走り出した。
「ちょっと…!返してよ!」
慌ててローファーを引っかけて橘が矢野の後を追った。
「おい!」
仕方なく僕も矢野と橘を追う。
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