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「…どーせならマックとか涼しいとこの方がよかったんだけど」
「バカだな。アイスは外で食うからうまいんじゃん」
わけの分からない理屈を言う矢野を尻目に、結局僕ら3人は並んでアイスを口にしていた。
コンビニ脇の小さな公園の藤棚の下。
いくつか植えられた木々がちょうどよい具合に日陰を作りだす。
「お前なー食うの早すぎんだよ」
「うるさいなぁ。溶けちゃうんだからしょうがないでしょ!あ、ほら、それ垂れてる!」
「うるせーよ」
2人のやりとりを僕は黙って聞いていた。
シャリシャリと氷を口にする音の向こう側で、羽音を全開にした蝉の声が響く。
「あ、お前の一口欲しかったのに。なんで全部食ってんだよ」
「はぁ?意味わかんない」
意味わかんない、って言うの橘得意だよなってそんなことを思っていた矢先だった。
「あ、やべ」
鳴り響く、携帯のコール音。
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