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「イヤホンが取れた瞬間、片耳押さえたんだ、柴田。ホント一瞬だったけど。
…押さえたの、左耳だった」
柴田を思い浮かべる。
白いイヤホン。
肩にかかるくらいの髪。
そういえば、あいつはいつも耳を出さない。
髪に隠れたままだ。
「…聞こえないんだとすれば、いろんなことのつじつまが合うよね」
そこまで言うと橘は困ったような顔で小さく笑った。
…柴田。
小さな身体でアイツは何を抱えてー
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