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『空の上』
柴田の言葉を思い出す。
「…柴田がさ」
矢野には、柴田に楓の話をしたことは言っていない。
というか、あの日、矢野がいなくなってからの出来事は僕も言わなかったし、矢野も聞いてはこなかった。
「あぁ、柴田?」
またか?というように矢野は言う。
「あっさり答え言いやがった」
「……何の?」
「俺らが解けなかったなぞなぞの」
「…へぇ」
一瞬言葉を詰まらせた矢野は、平静を装ってそう言った。
「で、どっちだって?」
「『空の上』だと」
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