1

50/50
1802人が本棚に入れています
本棚に追加
/612ページ
ずっと、重ねてる。 柴田の横顔に。 こいつを見てると思い出すんだ。 あの頃のこと。 橘や矢野の言うように、僕は確かに柴田を見ているのかもしれない。 だけど、僕の視線の先にいるのはー 本当に柴田なのか? それともー ゆっくりと柴田がこちらを向いた。 口元が動く。 その動きを脳内で声にした。 『俺に関わるな』 それ以上、もう柴田が僕の方を向くことはなかった。 視線を合わせることも、声を発することも。 そうして柴田は完全に僕をシャットアウトした。
/612ページ

最初のコメントを投稿しよう!