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「…ねぇ、あの子。すっごいキレー」 柴田はどこにいても目立つ。 150あるかどうかという小柄な身体からすらりと伸びた長い手足。 透けるように肌が白く、肩にかかるくらいの髪は陽に透かすとキレーな茶色になる。 二重の大きな目に長い睫毛が影を落とし、やけに大人びた表情を見せる。 長い髪に気だるそうな、いかにも女子高生という群れの中に入ると、その存在感はひときわ目を惹きつける。 入学式のときにはもう、誰もが彼女に釘付けだった。 加えて、彼女は恐ろしいほどに頭がいい。 入学後すぐに行われた学力テストで、彼女は全教科満点という偉業を成し遂げた。 …となると、たいていの場合人気者というか高嶺の花というか、羨望の眼差しで見られるのが筋ってもんだ。 だけど、彼女の場合はそうはいかなかった。 なぜなら―
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