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ココロが渡した小瓶に、マイのハンカチに包まれたマイのエキゾチカを入れる。
空になったハンカチはココロを経由してマイに戻ってきた。
そして虹色の虫が、小瓶のなかをころころと転がり、もうひとつの小瓶に吸い込まれる。
「捨てていいよ」
というココロの一言で、カンナの小瓶に入っていた黄色い爪は地面に放られた。
カンナを見ても彼女はその様子を静観しているだけだった。
……3匹のエキゾチカが、赤い爪の入った小瓶で一緒になった。
今いるすべての虫は間違いなくココロのものになったんだ。
それが終わった瞬間──予鈴が聞こえた。
「じゃあ、続きは放課後にしよっか」
「は?」とツバサがココロを睨む。
「だって、仕方ないじゃん。授業やんなきゃ。サイコロも小瓶のそれも、センパイが持っていていいよ」
ツバサは校舎のほうとココロを何度か振り返ったけど、「ここでいいの?」とココロに訊いた。
「うん。放課後、またここに集合で」
予鈴によって、ココロとツバサの賭けは、あっさりと延期となった。
ココロに続いてカンナとマイが歩き出すなか、ツバサはテラスのベンチに座った。
「行かないの? センパイ」
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