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「実家の方でお見合いすることになったので、少しまとまった休みが頂きたいのですが。急で申し訳ありません」
聞き間違いだと思う。
うん、きっとそうだ。
そう思い込もうとしている俺に容赦なく彼女は告げる。
「来週の週末には帰ってきますが、出来れば火曜から定休日の水曜を挟んで金曜までの3日間ほどいいでしょうか」
俺は焦り始める。
彼女が3日間もいない…。
仕事はどうなるんだ。
俺の心を読むかのような彼女の言葉。
「もちろん引継ぎはレポートにまとめ、山科さんに渡しておきます。それで問題ないと思いますが」
そりゃあ君が指示するんだから、どんな馬鹿でも仕事は出来るようになっているだろう。
そう3年目にも関わらず、ときどき酷いミスをして聞くに堪えない?叱責の数々を君から浴びている山科でさえそのレポートを読めば完璧に出来るはずだ。
間違いないと思うが…
君がいない榊不動産は榊不動産として成立するのか、俺はそれが不安なのだ。
「よろしいでしょうか?それとも社長?私がいなければ何かお困りの事でも?」
…その言い方…俺を追い詰め断れなくしている。
結果、やはり逆らえない俺は
「わかったよ梢ちゃん。そのように段取りましょう」
そう言わざるを得ない。
「ありがとうございます。ではお先に失礼いたします」
梢ちゃんは一礼して俺のデスクから立ち去り、バッグを引き出しから出すと帰って行った。
と、同時に俺ははぁーっとため息を吐きデスクに突っ伏す。
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