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地上の改札を抜けて地下のホームに降りると、湿気を含んだ生暖かい風がやんわりと頬を撫でていく。
地下鉄構内は季節関係なく、一年中同じ空気が漂っている気がする。
歩くのも面倒なので階段のすぐ傍の停車位置で電車を待っていると、小早川さんが階段から降りてきた。
「小早川さん……」
彼女に聞こえないであろう小さな声で名前を呼ぶ。
階段を降りると、俺の横に腕を組みながら立つ彼女。
「デートは終わったんですか?」
「そんなんじゃないよ」
「男女二人が映画を見るのってデートとは言わないんですか?」
彼女のその言い方に棘を感じるのは俺だけだろうか。
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