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――小早川さんっ。
映画館の入り口から小早川さんが一人で入ってきたのだ。
彼女が一歩、また一歩と足を進める様がスローモーションのように見える。
彼女も俺に気付いた様子だったので手を上げようと右手を動かそうとした時、彼女の視線がフッと俺から逸れた。
そして、何もなかったかのようにチケット売り場まで歩いていく。
……今、100パーセント目があったよな?
いや、確実にあった。
彼女の姿を追いながら自問自答していると、千秋ちゃんが不思議そうな顔をして「高坂さん?」と言った。
「あ、ごめん、お茶しよう」
チケットを買っている彼女をチラチラと横目で見ながら映画館を後にした。
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