第4章

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「今度は、気分を変えてアクション映画でも見たいですね」 カラカラと紅茶をスプーンでかき混ぜながら言う千秋ちゃんに、「そうだね」と返した。 小早川さん、もう課長のことから立ち直れたのかな。職場での雰囲気はいつもと変わらないが、大丈夫なのだろうか。 「上の空ですね」 千秋ちゃんに言われて、アイスコーヒーのストローから口から離す。 「え?」 「高坂さん、退屈そうだから」 儚げに言って、カップをソーサーに静かに置く。 「え?あ、そんなことないよ、ちょっと考え事してて……ごめんね」 慌てて謝ると、千秋ちゃんは力なく微笑んで、 「高坂さんは今、好きな人がいるんでしょ?」 と、言った。
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