最強決定戦‐前編

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 まだ緑を色濃く残しつつも、涼やかな空気に満ちた初秋の森。  東の皇国一深いその森には、東西と南北に掛けて道が走っていた。  二本の道が交わる場所は少し開けていて、北東には腰掛けるのに手頃な岩がひとつあった。  穏やかな午後の陽光が射すその広場。  そこに今、幾つかの気配が近付いていた。  東から歩み来たのは、腰まで届く紅紫色の髪のライアロウ。  薙刀を手に持ち、退廃的な雰囲気を漂わせながら広場に現れた。 「ん?」  西から歩み来たのは、グレー掛かった銀色の毛並みのライオン型セリアン。  胸を張り、蹴るように豪快な大股で歩きながら広場に現れた。 「む?」  南から歩み来たのは、燃えるような緋色の髪のセル。  隻眼を光らせ、鰐の尾をゆったり振りながら広場に現れた。 「あ?」  そして、北から走り来たのは、清潔とは程遠い格好の盗賊たち。  それぞれ黄色い歯を見せ、手に手に武器を構えながら広場に現れた。 「てめぇら、命が惜しけりゃ、有り金も服も武器も置いてけや!」  ライアロウとライオン型セリアンとセルの視線が交差する。 「私が彼らの相手をするよ……薙刀あるし」
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