12人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ緑を色濃く残しつつも、涼やかな空気に満ちた初秋の森。
東の皇国一深いその森には、東西と南北に掛けて道が走っていた。
二本の道が交わる場所は少し開けていて、北東には腰掛けるのに手頃な岩がひとつあった。
穏やかな午後の陽光が射すその広場。
そこに今、幾つかの気配が近付いていた。
東から歩み来たのは、腰まで届く紅紫色の髪のライアロウ。
薙刀を手に持ち、退廃的な雰囲気を漂わせながら広場に現れた。
「ん?」
西から歩み来たのは、グレー掛かった銀色の毛並みのライオン型セリアン。
胸を張り、蹴るように豪快な大股で歩きながら広場に現れた。
「む?」
南から歩み来たのは、燃えるような緋色の髪のセル。
隻眼を光らせ、鰐の尾をゆったり振りながら広場に現れた。
「あ?」
そして、北から走り来たのは、清潔とは程遠い格好の盗賊たち。
それぞれ黄色い歯を見せ、手に手に武器を構えながら広場に現れた。
「てめぇら、命が惜しけりゃ、有り金も服も武器も置いてけや!」
ライアロウとライオン型セリアンとセルの視線が交差する。
「私が彼らの相手をするよ……薙刀あるし」
最初のコメントを投稿しよう!